高インスリン血症について説明します。前々回に肥満の原因は『インスリンの出過ぎ=高インスリン血症』、『インスリンへの慣れ=インスリン抵抗性』であることを説明しました。 前回はインスリンが『ブドウ糖を体に貯め込むホルモン』、『肥満ホルモン』であることを説明しました。
高インスリン血症について
図1:前回説明したように、ブドウ糖はエネルギーとして使われる一方で、余ったブドウ糖はグリコーゲン(貯蔵糖)として肝臓に貯蔵されます。ブドウ糖をエネルギーとして使ったり、肝臓にグリーコーゲンとして貯蔵するために働くホルモンがインスリンです。
図2:食事を食べて、ブドウ糖が余ったらどうなるでしょうか。グリコーゲンとして肝臓に貯蔵できる量は多くありません。肝臓のグリコーゲンがいっぱいになったら、ブドウ糖を脂肪に変換して内臓脂肪に貯蔵します(脂肪新生)。ブドウ糖を脂肪に変換して、内蔵脂肪に蓄積する際にも、インスリンが働きます。インスリンの量は(図1<図2)です。
図3:食事をさらに食べて、ブドウ糖がさらにさらに余ったらどうなるでしょうか。今度は脂肪が血液中に中性脂肪(トリグリセリド)として溢れ出します。これが脂質異常症です。インスリンの量は(図1<図2<図3)です。
図4:食事をさらにさらに食べ、ブドウ糖がさらにさらに余ったらどうなるでしょうか。内臓脂肪もいっぱいになり、血液中にも中性脂肪が漂っている状態です。大量に余ったブドウ糖から合成された脂肪は行く場所がありません。そうすると、本来脂肪が貯まる場所ではない場所に脂肪がたまり始めます(異所性脂肪)。その代表例が肝臓に脂肪が溜まった状態、脂肪肝です。もちろん、インスリンの量は(図1<図2<図3<図4)です。
図5:まとめの図になります。内臓脂肪の蓄積、中性脂肪が高いこと、脂肪肝の原因は脂肪の摂り過ぎではありません。食事で摂ったブドウ糖が多く、ブドウ糖が余り過ぎたから、ブドウ糖が脂肪に変換され内臓脂肪として溜まり、中性脂肪として血液中を漂い、脂肪肝になるわけです。インスリンとはブドウ糖を貯め込むホルモン、肥満ホルモンであると説明しました。余ったブドウ糖がたくさんあるほど、インスリンがたくさん分泌され、内臓脂肪になり、中性脂肪として血液中にあぶれ、脂肪肝にもなるわけです。
次回 肥満・メタボの原因 ④インスリン抵抗性
今回は肥満・メタボの本当の原因の一つである高インスリン血症について説明しました。次はもう一つの原因であるインスリン抵抗性について説明します。