こんにちは、ドクレイです。今回は、ダイエットにおいて4つの食事療法を比較した論文を読んでみます。2007年にJAMAに発表された論文です。少し古い論文ではありますが、ランダム化された研究(研究として質が高い)ですし、超低炭水化物食、低炭水化物食、従来の食事療法、高炭水化物食の4つの食事療法を比較しており、非常に面白い論文です。
まずは、結論です。
「超低炭水化物食は、減量効果が最も大きい。」
「生活習慣病に関連する因子にも良い影響を与える可能性がある。」
これですね。もっと詳しく知りたいという方は、下記のリンクより、論文の本文をお読みください。では、論文の紹介、解説をしていきます。
パッと読むための目次
論文の紹介
タイトル:
Comparison of the Atkins, Zone, Ornish, and LEARN Diets for Change in Weight and Related Risk Factors Among Overweight Premenopausal Women. The A TO Z Weight Loss Study: A Randomized Trial
ジャーナル:JAMA
発表年:2007
URL(PubMed):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17341711/
4つの食事方法について
この論文の目的は、4つの食事療法(超低炭水化物、低炭水化物、従来の食事療法、高炭水化物)が体重に与える影響を比較することです。
この研究はアメリカで行われ、BMIが27~40の肥満のある閉経前の女性、311人が参加しました(平均年齢41歳、平均体重85kg、平均BMI32)。食事療法を行う期間は12ヶ月で、最初の2ヶ月は食事療法についての指導を毎週行いました。研究前、2ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後で体重の変化を調べました。
4つの食事療法には、それぞれ名前がついています。超低炭水化物食であるアトキンス・ダイエット(Atkins diet)、低炭水化物食であるゾーン・ダイエット(Zone diet)、従来の食事療法であるラーン・ダイエット(LEARN diet)、超高炭水化物食であるオーニッシュ・ダイエット(Ornish diet)の4つです。それぞれ解説していきます。
- Atkins diet:超低炭水化物食。カロリーの具体的な制限はなし。開始から2~3ヶ月までの導入期は炭水化物は1日20g以下に制限する。以降の維持期は炭水化物を1日50g以下に制限する。
- Zone diet:低炭水化物食。カロリーの具体的な制限あり。炭水化物、タンパク質、脂質の割合を、それぞれ40%、30%、30%とする。
- LERAN diet:従来のガイドラインでは、脂質を減らして、代わりに炭水化物を減らすように指導されてきました。カロリーの具体的な制限があり、運動量を増やすように指導されます。炭水化物の割合は55~66%で、飽和脂肪酸は10%以下に制限する。
- Ornish diet:高炭水化物食。カロリーの具体的な制限はなし。脂肪からのエネルギー摂取を10%以下に制限する。
超低炭水化物食は、減量効果が最も大きい
結果です。
このFigureは、https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/205916より引用しています。
12ヶ月後の体重は、Atkins Diet(▲マーク)が-4.7kg、Zone diet(■マーク)が-1.6kg、LERAN diet(◯マーク)が-2.6kg、Ornish diet(●マーク)が-2.2kgでした。つまり、超低炭水化物食の食事療法であるAtkins dietが最も減量効果がありました。また、この研究では、HDL、LDL、TG、血糖、インスリン、血圧なども測定しています。超低炭水化物食であるAtkins dietでは、LDLに減少は認められなかったものの、HDLを上昇させ、TGを低下させ、血糖やインスリンを減らし、血圧を下げる可能性があることも示唆されました。つまり、超低炭水化物の食事療法は、生活習慣病に関する因子にも良い影響を与える可能性が示唆されました。
ただし、この論文にももちろん問題が指摘される部分はあります。12ヶ月という短い期間のため、年単位での評価はされておりません。また、対象は閉経前の女性のみを対象としている点も問題点として挙げられます。しかし、ランダム化研究であり、超低炭水化物食であるAtkins dietが減量効果だけでなく、生活習慣病に関連する因子にも好影響を与える可能性があることが発見されたことは非常に面白い結果でありました。
肥満や高血圧、糖尿病といった生活習慣病を患ってはいませんか。また、身近な人がこのような生活習慣病を患っていませんか。あなたが、またはあたなの身近な人が生活習慣病を患っていたら、どうしますか。おそらく医療機関を受診しても、このように言われるだけでしょう。
「体重を減らしてくださいね。」
「食べる量を減らして、運動量を増やしましょう。」
「脂質を減らしましょう。」
「体重が減らず、数値が改善していなければ、お薬を出しましょう。」
これらの指導で体重が減って、生活習慣病がよくなればいいのですが、これらの指導では、全く体重が減らないのです。自分自身にあった健康資産の運用、特に食事資産の意識的な、正しい運用をしてくてはなりません。
健康資産は、全ての人が毎日運用している資産です。食事資産、睡眠資産、運動資産、マインド資産の4つより成り立っている資産です。どれか一つの資産にでも負債をかかえると、健康資産のバランスが崩れます。日々の生活の中で、意識的に健康資産を運用しませんか。全ての人が毎日運用している健康資産。意識的に運用し、人生の最大化を図りましょう。ドクれいでした。それでは、また。