4つの健康資産

肥満・メタボの原因 ④インスリン抵抗性

About Insulin Resistance

インスリン抵抗性について説明します。肥満の本当の原因は『インスリンの出過ぎ=高インスリン血症』、『インスリンへの慣れ=インスリン抵抗性』です

『抵抗性』とは

インスリン抵抗性について説明をする前に、『抵抗性』について理解する必要があります。抵抗性とは『自分自身を守るために、原因に対して抵抗する性質』です。つまりインスリン抵抗性とは『自分自身を守るために、インスリンに対して抵抗する状態』のことです。

図1

図1: とても難しいので、イソップ童話の(オオカミと少年)を例に考えてみます。何度も読んでインスリン抵抗性について一緒に理解しましょう。

  • 羊飼いの少年は羊の世話をしています。少年は来る日も来る日も羊の世話ばかりで、飽き飽きしてしまい、村人たちにウソをつきます。
  • 「オオカミ来た、オオカミが来た。」
  • 村人たちは騙されて、武器を持って出てきます。それを見て、少年は大笑いをします。そして、少年はまた同じいたずらをします。
  • 「オオカミが来た、オオカミが来た。」
  • 村人たちは今度も騙されて、武器を持って出てきます。少年は、またもや大笑いをします。羊飼いの少年は楽しくて、このいたずらを繰り返します。
  • そして、本当にオオカミが現れました。
  • 少年は「オオカミが来た、オオカミが来た。」と叫びましたが、その時村人は誰も出てきませんでした。

少年が何度も何度も「オオカミが来た」とウソをついたため、村人たちは「オオカミが来た」に慣れてしまいました。だから、本当にオオカミが来ても村人たちはウソだと思って反応しなかったのです。つまり、村人たちには「オオカミが来た」に抵抗性を持ってしまったのです。これが「オオカミが来た」抵抗性です。「オオカミが来た」抵抗性とは、自分たちをウソから守るために、「オオカミが来た」に抵抗する状態です。

同じようにインスリン抵抗性で考えてみます。たくさんのインスリンが分泌されると(=高インスリン血症)、『ヒトが自分自身を守るために、インスリンに対して抵抗する状態』である『インスリン抵抗性』を発揮します。

『インスリン抵抗性』とは

図2

図2:まずは高インスリン血症の復習です。ブドウ糖はエネルギーとして使われます。余ったブドウ糖は、肝臓にグリコーゲンとして貯蔵されます。さらにブドウ糖が余ると、ブドウ糖は脂肪に変換されて内蔵脂肪として蓄積します。さらにたくさんのブドウ糖が余ると血中に漏れて中性脂肪になったり、脂肪肝といった異所性脂肪として貯蔵されます。この余ったブドウ糖を貯蔵するためにインスリンが作用しています。つまり「ブドウ糖が余っている→インスリンをたくさん分泌しろ」という命令が出ているわけです。つまり、余分なブドウ糖がある限り、インスリン、インスリン、インスリン、という命令が出続けます。これがインスリンの出過ぎの状態である高インスリン血症です。

図3

図3:オオカミが来た、オオカミが来た、オオカミが来たと言われ続け、村人たちは「オオカミが来た抵抗性」を持ち、「オオカミが来た」に反応しなくなりました。同じように、インスリン、インスリン、インスリンとインスリンが大量に分泌され続けると、ヒトの身体は「インスリン抵抗性」を持ちます。繰り返しですが、抵抗性とは『自分自身を守るために、原因に対して抵抗性する性質』です。たくさん出続けているインスリンに抵抗しないと、インスリンの作用により身体のあらゆるところに脂肪が貯蔵されてしまうからです。

図4

図4:しかし、自分自身を守るためにインスリン抵抗性を発揮したとしても、さらに大量のブドウ糖が入ってきてたどうなるでしょうか。インスリン抵抗性を発揮し、インスリンの効果が弱くなると、結果としてブドウ糖が血管内に溢れてしまいます(=高血糖)。しかし、それでは糖尿病になってしまいます。糖尿病にならないようにするために、インスリン抵抗性を凌駕するさらなるインスリンが分泌されるという悪循環が出来上がります。つまり、

 高インスリン血症(=肥満)

  →インスリン抵抗性

   →さらなる高インスリン血症(=さらなる肥満)

という悪循環が生まれてしまいます。 

インスリンはブドウ糖を貯め込む肥満ホルモンでした。インスリンが出すぎている状態である高インスリン血症が肥満の原因の一つです。そして、高インスリン血症により、インスリン抵抗性が出現すると、さらなる高インスリン血症を招きます。肥満がさらに加速するわけです。繰り返しになりますが、肥満・メタボの本当の原因は『インスリンの出過ぎ=高インスリン血症』、『インスリンへの慣れ=インスリン抵抗性』です

肥満・メタボを薬を使わずに治す方法

肥満を治す・メタボを治す、その治療方法は肥満・メタボの本当の原因に対処するしかありません。つまり、インスリンの出過ぎ(高インスリン血症)を改善させること、インスリンの効きが悪い状態(インスリン抵抗性)を改善させることです。