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リン(P)と腎臓、腎機能障害、慢性腎臓病

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こんにちは、ドクレイです。今回はリン(P)と腎臓、腎機能障害、慢性腎臓病との関係についての動画を見たので、まとめておきます。

  • ・ホリエモンCH医療編 「現代の食生活は「リンの摂り過ぎ」で腎臓に悪い?なぜリン排泄が老化に関わるのか」(前編、後編)
  • ・本要約チャンネル 「眠れなくなるほど面白い 図解 腎臓の話」を世界一わかりやすく要約してみた」

 まずは結論です。

  • ・過剰のリン(P)は腎臓に悪影響を及ぼし、腎機能障害、慢性腎臓病の原因になる
  • ・現代人は必要量以上のリン(P)を摂取している。
  • リン(P)の摂り過ぎに注意をする必要がある。

 このページ最後にYouTube動画のリンクを貼っておきます。私は内科医ですが、腎臓は専門分野ではありません。腎機能障害、慢性腎臓病についての最新の知識がアップデートできる非常に面白い動画でした。興味がある方は是非動画も見てください。それでは、よろしくお願いします。

腎臓の役割

 まずは腎臓の役割を大雑把に知っておきましょう。腎臓が尿を作っているということは有名です。血液を濾過して、老廃物を尿として出します。そして、血液中のNaやK、Cl、Mg、Pといった電解質を一定に保つ役割を持っています。また、血圧の調整や、赤血球を作るホルモンを分泌するのも腎臓の役割です。

  1. 老廃物を尿として出す
  2. 電解質を一定に保つ
  3. 血圧の調整
  4. 赤血球の産生に関わるホルモンの分泌

リン(P)について 

 電解質の中にリン(P)が登場しました。リン(P)は生命に必須の6大元素である水素(H)、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、リン(P)、イオウ(S)の中の一つです。つまり、リンは生命にとって必要不可欠なものです。実際にリンは、リン酸カルシムとして骨となり、リン脂質として細胞膜となり、DNAとして遺伝子になり、ATPとしてエネルギーとして使われています。

  1. リン酸カルシウムとして
  2. リン脂質として
  3. DNAとして
  4. ATPとして

 生命にとって絶対に欠かせないリンですが、驚くことに、血中のリン濃度が高いと死亡率が上昇することが報告されています。リンは高濃度になると細胞にとって毒となるからです。電解質の一つでもあるリンの濃度を一定に保つために働いているのが腎臓であると説明しました。つまり、腎臓の機能が落ちていると血中のリン濃度が一定に保てなくなり、リン濃度が上昇し、寿命が短くなったり、老化のスピードが早まるのです。

 では、どうして腎臓の機能が悪くなってしまうのでしょうか。高血圧や糖尿病、加齢などが腎機能を悪くする一因であることは有名です。しかし、リンを過剰に摂取することも腎機能を悪くする原因あることが最近わかってきました。

FGF23-Klotho内分泌系

 ホリエモンCH医療編に登場される自治医科大学分子病態治療研究センター抗加齢医学研究部教授の黒尾 誠先生はFGF23-Klotho内分泌系について次のように説明されています(少し難しい内容となりますので、詳細は是非動画を見てください)。

  • リンは血中に一定に保っていなければならない。
  • 理由① 少なくてはいけない。リンは生命に必要不可欠だから。
  • 理由② たくさんあってもいけない。高濃度のリンは毒となるから。
  • 理由③ リンが血中に多くなるとリン酸カルシムとして析出してまうから(骨や石灰化として出現する)。骨以外の場所に骨や石ができたら困りますよね。
  • FGF23-Klotho内分泌系は、体内のリンを一定に保つシステム。リンの摂取量に応じて、リンの尿中への排泄量を調節している。
  • リンが多いと血中のFGF23が上昇し、尿中へのリン排泄量を上昇させる。
  • 過剰に摂取したリンを尿中に排泄することによって、全身の臓器が高濃度のリンに侵されることを防ぐ。
  • しかし、尿中へのリン排泄量が多いことで、腎臓自体に弊害が起きる。
  • 腎臓や腎臓を構成しているネフロン(腎臓の機能を司っている小器官)が高濃度のリンにさらされることになり、障害されてしまう→尿細管の障害、腎臓の線維化。
  • その結果、腎機能の低下、腎機能障害、慢性腎臓病が引き起こされる。

 つまり、リンの過剰摂取は、腎機能低下、腎障害、慢性腎臓病の原因になる。なぜなら、尿中に大量のリンを排泄するために、腎臓そのものが高濃度のリンに侵されてしまうからです。

 腎臓は、全身が高濃度のリンに侵されないために、自分(腎臓)が身代わりとなって高濃度のリンを引き受け、頑張ってリンを排泄しているというわけです。

高濃度のリンから腎臓を守るために

 高濃度のリン(P)から腎臓を守るためにどうすればよいのでしょうか。そもそも現代人は、身体に必要量以上のリンを取り過ぎだと言われています。つまり、リン制限をしましょう、ということです。ではどのようにリン制限をすればよいのでしょうか。

 私の学生時代もそうでしたが、今までは、腎機能を悪くしないためにはタンパク質を制限するといった低タンパク食にがよいと教わってきました。おそらくその理由は、食品中のリンの含有量が、食品中のタンパク質と比例するからだと思います。つまり、タンパク質を制限する=リンを制限することになるわけです。だから、タンパク質を制限すると、リンを制限することとなり、腎臓に負担をかけなくてすむわけです。

 しかし、この考えにはリンが食品中からどのくらい吸収されるかという、リンの吸収率といった概念が含まれていません。さらに、低タンパク食にすると、タンパク質が不足するわけで、逆に栄養状態が悪くなる可能性があります。

 植物性タンパク質や動物性タンパク質など、いろいろな食品にリンが含まれていますが、食品添加物(リン酸塩など)にもリンが含まれています。先程のリンの吸収率という観点で考えると、植物性タンパク質や動物性タンパク質などから吸収されるリンは0~60%なのに対して、驚くことに食品添加物のリンの吸収率はほぼ100%ということです

 腎臓を守るために、健康で長生きするために、黒尾先生は次のように提案されています。

  1. リンを含む加工食品、リン含有量の多い食品添加物を避ける
  2. 動物性タンパク質(植物性タンパク質よりリン吸収率が高い)を植物性タンパク質に切り替える

タンパク質制限のない、リン制限をしましょう、と提言されています。

  ③「眠れなくなるほど面白い 図解 腎臓の話」では、腎臓を守るために食べるものとして、1日20g以上の食物繊維、1日350以上の野菜を食べるように提言しています。

さいごに 

 腎臓が悪くなると、老化が進む、寿命が縮む、筋力が低下する、動脈硬化が進む、認知症になる、など悪いことが多々あります。肥満や糖尿病も腎機能を悪くするとこで知られていますが、リンの過剰摂取も腎臓を悪くします。しかし、加工食品をたくさん食べることは、精製された炭水化物の過剰摂取になり、質の悪い脂質の過剰摂取になり、そして食品添加物としてリンの過剰摂取となります。つまり、加工食品(全ての加工食品が悪いとは、もちろん言いませんが)の食べ過ぎは、肥満の原因となり、糖尿病の原因となり、慢性腎臓病の原因ともなる可能性があります。

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