こんにちは。ドクレイです。今回は予防医学について、改めて勉強してみます。医学生の時には予防医学について勉強したと思います。しかし、勉強する時間はわずかであったと思いますし、ほとんど頭に残っておりません。そして、医者となり患者さんの治療にあたってきましたが、予防についての知識を私たち(私だけかもしれませんが)医療者はあまり持ち合わせておりません。病気の治療はできる、病気が再発しないように薬を処方する。でも、病気の予防についてはあまり興味がない、むしろ勉強してこなかった。これが現状だと思います。
予防医学とは
予防医学とは「病気を予防し、生命を延長し、身体ならびに精神の健康と能力を増進する科学と技術である」と、1953年に米国のレベル先生とクラーク先生により定義されました。予防医学には3つの分類があり、健康増進・発病予防が一次予防、早期発見・早期治療が二次予防、機能維持・回復は三次予防となります。
まとめると次のようになります。
- 一次予防:病気の予防
- 二次予防:病気の早期発見・早期治療
- 三次予防:再発の予防、リハビリ
まずは、二次予防、三次予防についてさらに勉強してみます。二次予防は、病気の早期発見、早期治療です。がん検診は二次予防のために行っている検査で、がんを早期に・小さいうちに見つけて、早期に治療することを目的としています。早期発見・早期治療を実現することで、患者さんの負担の軽減だけでなく、QOLの向上、予後の延長、医療費の削減にも繋がります。三次予防は、再発の予防やリハビリです。脳梗塞後の患者さんに再発予防のために血液サラサラの薬を処方する、身体の機能を維持するためにリハビリを行う、などが三次予防です。
ほとんど医療従事者は一次予防に興味がない?
一次予防、二次予防、三次予防という3つの分類からみても、医療従事者が集中的に学んでいることは病気の早期発見・早期治療であり、再発予防やリハビリです。嫌らしい話になりますが、ヒトが病気にならないと医者は不要になりますし、もちろん看護も不要です。また、薬も不要となるため、薬剤師も不要になります。医療は非常に大きな経済マーケットであり、医療従事者にとって、製薬会社にとって、病気を持っている患者さんは必要不可欠であるという考え方もあるのかもしれません。つまり、ほとんどの医療従事者や、医療というマーケットに関わる企業は、病気の予防という一次予防に興味がないのかもしれません。自分たちにとっての患者さん(=お客さん)がいなくなってしまうわけですから。
積極的な一次予防、それは健康資産の意識的な運用
今日、もっとも注意を払うべき病気はなにか?。それは間違いなく生活習慣病、メタボリックシンドロームです。生活習慣病は、読んで字の如く、生活習慣が原因で引き起こされる病気です。肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病、脂肪肝、痛風、睡眠時無呼吸症候群など様々な病気の原因となります。しかも、これらはほとんど症状がありません。気づいた時には、脳梗塞や心筋梗塞になったり、がんがになったりするわけです。
この生活習慣病を予防するために健康資産を意識的に正しく運用する必要があります。健康資産は食事資産、睡眠資産、運動資産、マインド資産から形成される資産です。健康資産の意識的な運用は、積極的な一次予防です。
私は10年以上内科医をしておりますが、これまで一次予防について患者さんに月並みで、間違ったアドバイスをしてきました。例を挙げます。BMIが25を超えていて(いわゆる肥満です)、血圧やコレステロールが高い患者さんが私の病院を受診しました。
私:「体重が基準値を超えていますね。体重を落として、血圧やコレステロールを下げないと、薬が必要になるかもしれません。」
患者さん:『体重を落とすために、どうしたらいいですか。』
私:「体重を落とすためには、食べ過ぎに注意して、適度な運動をしましょう。コレステロールが高いから、脂質は控えてくださいね。がんばってくださいね。」
そして、3ヶ月後に患者さんはもう一度病院を受診します。もちろん減量は失敗しています。
私:「残念でしたね。将来のためにも薬を飲んでおいて方がいいですよ。脳梗塞や心筋梗塞になったら困りますよね。毎月病院に通って、薬をもらってくださいね」。
一生治らない(と考えられている)生活習慣病により、一生病院に通い続ける患者さん(=お客さん)が出来上がったわけです。食べ過ぎに注意して、適度な運動をする。こんなアドバイス、誰でも、子供でも知っているような内容です。または、脂質もできるだけ減らしましょう。このアドバイスも間違っています。
正しい食事指導や、睡眠指導、運動指導、マインド指導を、ほとんどの医療者はできません。栄養学や正しい睡眠の仕方・運動の仕方について勉強する機会はほとんどありません。一次予防について勉強する機会もほとんどありません。医療者は、病気を見つけ、病気を治療することに特化しているわけです。
だから、私やあなたは、自分自身で学び、健康資産を正しく、意識的に運用して、自分自身で一次予防をするしかありません。私は、健康資産を正しく、意識的に運用できるお手伝いができる医療者になりたいと考えています。
健康資産は、全ての人が毎日運用している資産です。食事資産、睡眠資産、運動資産、マインド資産の4つの資産より成り立っている資産です。どれか一つの資産にでも負債をかかえると、健康資産のバランスが崩れます。日々の生活の中で、意識的に、そして正しく健康資産を運用しませんか。全ての人が毎日運用している健康資産。意識的に正しく運用し、人生の最大化を図りましょう。ドクレイでした。それではまた