4つの健康資産

肥満、メタボの原因は① 本当の原因

 こんにちは、ドクレイです。今回は、食事資産を運用する上で最も重要なことを数回にわたりまとめていきます。

 それは、肥満の本当の原因についてです。肥満の原因は、生活習慣病やメタボリックシンドロームの原因でもあります。”食べ過ぎ”と”運動のしなさ過ぎ”が原因だとういのが通説ですが、これは完全に間違いです。厳しい食事制限と激しい運動をするダイエット番組を思い浮かべてください。番組の終了時には減量しています。でも、参加者全員がリバウンドします。食事の量を減らして、運動をする、は続けることができないんです。これは肥満が”食べ過ぎ”と”運動のしなさ過ぎ”が原因であると認識していることが間違いだからです。

 結論から先に伝えると、肥満の本当の原因は次の2つです。

 『インスリンの出過ぎ=高インスリン血症』

 『インスリンへの慣れ=インスリン抵抗性』

の2つです。

 あまり馴染みのない用語ですよね。インスリン、高インスリン血症、インスリン抵抗性。数回にわたり、この考えをわかりやすく説明していきたいと思います。

 メタボリックドミノについて

 まずはメタボリックドミノという考え方を紹介します。ドミノ倒しの出発点である肥満のドミノが倒れると高血圧や脂質異常、高血糖になる。また、これらのドミノが倒れると、脂肪肝になり、糖尿病になる。そして、どんどんと病気のドミノは倒れていき、最終的には心筋梗塞や脳卒中、認知症になる。このような考え方がメタボリックドミノです。

メタボリックドミノ

 メタボリックドミノの出発点は、上図の赤枠のように肥満とされています。では、肥満の原因は何か。肥満の原因は生活習慣の乱れ、つまり”食べ過ぎ”と”運動のしなさ過ぎ”と考えられていました。ですから、医療者は何十年も次のように指導し、患者さんは指導されてきたわけです。

 「食べすぎないようにしましょう。」

 「運動をしましょう。」

 この2つです。肥満や生活習慣病を指摘され病院を受診した際に絶対に言われる言葉だと思います。でも、これらの指導で体重は減ったのでしょうか。これで血圧が下がったでしょうか。これでコレステロールは減ったでしょうか。これで血糖値は下がったでしょうか。答えは全て『ノー』です。

7年以上の大規模研究でわかったこと

図1

 図1:2006年に海外で発表された論文を紹介します。平均年齢が62歳、平均BMIが29の約5万人の女性が参加した研究です。

 

図2

 図2:約5万人の女性は、2つのグループに分けられました。1つ目のグループは低カロリー(食べる量を減らす)。2つ目のグループは低カロリー・低脂質(食べる量を減らす+脂肪の割合を減らす)を指導されました。どちらのグループも運動はするように指導されています。そして、約7.5年間に渡り、この研究が続けられました。

 

図3

 図3:1つ目の低カロリーのグループは、7.5年後の体重に変化がありませんでした。2つ目の低カロリー・低脂肪のグループは、1年後に約2.2kg痩せました。しかし、7.5年後にはリバウンドしていました。

図4

 図4:7.5年間の研究でわかったことは次のことです。食べる量を減らして、脂肪の割合を減らして、運動しても痩せない。

重要なのでもう一度繰り返します。

 『食べる量を減らしても、体重は減らない。』

 『低脂肪食にしても、体重は減らない。』

 『適度に運動しても、体重は減らない。』

 つまり、”食べ過ぎ”や”運動しなさ過ぎ”は肥満の本当の原因ではないんです。なぜこのように考えられるようになったかというと、カロリーという考え方が一つの原因と言われています。ここではカロリーについての考え方には触れませんが、摂取するカロリーと消費するカロリーという数値だけで太ったり痩せたりを考えることは間違いです。脂肪は1gが9kcalです。オリーブオイル10gとマーガリン10gはどちらも90kcalですが、体に与える影響は全く違います。放牧で飼育された牛の牛肉と、抗生物質の入った穀物で飼育された牛の牛肉では体に与える影響は全く違います。 

肥満の本当の原因

 メタボリックドミノの本当の出発点は何か。生活習慣病の本当の原因は何か。肥満の本当の原因何か。

肥満の本当の原因

 本当の原因は、

 『インスリンの出過ぎ=高インスリン血症』

 『インスリンへの慣れ=インスリン抵抗性』

この2つです。

 次回は、高インスリン血症とインスリン抵抗性が、なぜ肥満の原因となるのかを解説していきます。

 健康資産は、全ての人が毎日運用している資産です。食事資産、睡眠資産、運動資産、マインド資産の4つの資産より成り立っている資産です。どれか一つの資産にでも負債をかかえると、健康資産のバランスが崩れます。日々の生活の中で、意識的に、そして正しく健康資産を運用しませんか。全ての人が毎日運用している健康資産。意識的に正しく運用し、人生の最大化を図りましょう。ドクレイでした。それではまた。